販売目標と2010年の雑感

 元気のいい会社?は毎朝朝礼で気合いをいれる。売り上げ目標を前期何パーセント増とか
やるわけだ。当社は・・ まったくやらない。第一売り上げ目標を決めたって、客が買わな
きゃはじまらない。この金額を自分で決めて、右肩上がりのグラフを壁に貼ったところで
単なる経営者のマスターベーションにしか過ぎない。もっと悪いことに、この目標を達成で
きなかったときに「オレはダメなんだ。」と自己嫌悪におちいるだけである。ただの紙切れ
がこんなマイナス効果を及ぼすなら無い方がいい。幸いに目標をクリアしたときは、ちょっと
うれしいだけだ。ちょっとうれしいのと、ひどい自己嫌悪、合算すればマイナスが大きい。

 取引先のPC機器卸業者の営業が言っていた。各自今月の目標金額を提出させる。話の流
れからいって、前月より少なめに数字をつくるわけにはいかないだろう。そして目標に達し
ないと上司から「何やってんだ!」ということになる。月末近くになると、取引先にお願い
してなんとかむりやり数字を作ったりする。小生からいわせれば、何で先に数字があるの?
と言いたいところだ。いい仕事をしていたが、その会社はすでに業界から姿を消した。

 小生も若い頃は外資系のモチベーションをあげるセミナーにも出て気合いを入れていた事
もあった。確かに色々勉強になった。当然ながら、小生のように会社を興そうとする輩は会
社を大きくし、沢山の社員を雇い、大きな収入を得たいという目標を持っている。どっちか
と言えばどこかの会社に勤め、平凡な人生を送るなんてクソ食らえと思っていたクチだ。
しかし、売上や会社を大きくすることあるいは高額な報酬を得ることを目標にするのは小生
からいわせれば間違っていると思う。

 仕事とは人様のお役立ちと考えると、すべては楽になる。収入はその結果だ。人より贅沢
ななものを食べて、豪邸に住みたいというのは、貧しいがゆえの夢である。その後になって
もまだまだ欲しがるのは○○依存症的な病気と考えても良いのかもしれない。ビルゲイツの
寄付にかける金額は世界最高峰と聞いている。彼は自分の子供に財産を残すつもりはない
ようである。ないといったって尋常でない額は相続されるだろう。
 小生はこの仕事をすでに28年位やっている。こんなに長くやっていて、どうして会社が
大きくならないのか・・その理由は分かっている。小生は根っからの技術屋で機械にこだわ
る。さらに頑固ラーメン屋のオヤジではないが、自分の作った味を自分の思いとおりに最高
の状態でお客様に食べて頂きたい的なこだわりがあり、この性格が仕事を他人に丸投げして
安く仕入れて高く売って、利ザヤがナンボで儲かったという話なら、パソコンである必要は
ない、株でも証券でもいい話だ。沢山のアルバイトやパート社員を雇って、さらに多店舗、
フランチャイズ展開して、ぜーんぶ人任せにした場合、よほどのノウハウがないと、同じ味
をだせない。以前こんな話を聞いた。喫茶店、自分で経営するとそこそこできるが、そのつ
もりで、もう1店舗だすと必ず潰れる。まだ、インターネットが普及する前のころだが、多
店舗展開した我が同業者はとっくに姿を消してしまった。

 未来を知りたいですか?未来を知る方法を聞いたことがある。たとえば10年後どうなっ
ているかを知りたい場合は、過去10年間にやってきたことが、未来の10年間にやること
となるとのことだ。ということは、いままで28年間潰れずにやってきたからには今後28
年間ぐらいはなんとかやっていけるのかもしれないということだ。その時まで、オレは生き
ているのだろうか?試合終了のゴングが近づいているというのに、遅いパソコンを我慢して
使うほど、お互いに若くないことお気づきですよね。なにはともわれ、来年もどうぞごひい
きに、よろしくお願いいたします。