遅ればせながら読書

 小生のように理工系の人間は物事を科学的数学的に考えてしまうため、物理・数学は得意であっても
国語は苦手である。文章を読んで、額面とおりに理解しようとする悪い癖がある。だから国語の成績は
よろしくなかった。同じく社会科の歴史なども事件と年号をまるで定理や公式のように丸暗記するよう
な勉強方法で、興味も面白さもまるでなかった。しかしこの年になって世の中のことを色々知るにつけ
歴史とはこれほどまでに「おバカ」な人間がここまで「バカなこと」を行い、そんなことを懲りもせず
まだまだ繰り返そうとしている。なにがどう「バカ」だったかを知る学問とわかると面白味も理解でき
るようになってきた。
 情報はテレビ・ラジオ・新聞から得ている。その他としてネットもある。放送業界には放送コード
というものがあり、差別的表現や、あまりに残酷な映像は自主的に放映されないようになっている。
 これらはいわゆるマスコミと呼ばれているが、これが真実かどうかは・・・実際にはスポンサーや
圧力団体のバイアスがかかっているとみてよい。普通ジャーナリストは反体制的な記事を作成するのが
常道でこれがいわゆる世間の標準と考えてはいけないのかもしれない。
 さて、お金を払って買う書籍にはこのマスコミ報道とは大きく異なる意見が述べられているものも
多くこうした書籍を読むことでマスコミによるバイアスを中和させる機能がある。

 普通の小説も読んでみたが、なんだかよく分からない。どうでもいいことがクドクド書いてあるように
思えてしまうのは理工系頭のためか・・残念ながら楽しめない。そんな中 新潮社の編集者がお勧め
の小説があるというので、ものは試しと読んでみた。宮本輝 作「流転の海」(昭和59年)たぶん
有名なので読んでいる方も多いだろう。恥ずかしながら小生初めて今になって読んでみた。正直面白い
読みやすい。文章を読み進むにつれ、まざまざと映像が浮かぶ、様々な登場人物が色鮮やかに浮かび
上がる。文字の中からここまで表現されることが、本当の読書の醍醐味であることが理解できる。
逆にいえば作家宮本輝の筆力がすさまじいということであろう。作者の経験や交友関係、取材力など
当たり前だか小生の経験値を総動員したところで全く追いつくことができず、こんな小説は小生が逆立
ちをしたって書けるものではない。まだ全巻読んでないのでコツコツ少しずつ楽しんでいる。

 とにかく、金をだして本を読み、様々な意見を理解し、マスコミ情報を改めて自分なりに検証する
必要があるだろう。