アラビアの悲しみ

 3/12にサウジアラビアのサルマン国王が来日した。特注のタラップやら高級車など
びっくりするような御一行様だ。現代の大名行列か・・、カネはいくらでもある。どうやって
使ったらいいのか教えてくれー状態はうらやましい限りだ。

 小生のような技術屋から言わせてもらえば、スワロフスキーを張りつめたベンツ、あれは
いけませんな。せっかくのベンツの職人が精根こめた塗装仕上げを無視してガラスのビーズ
をその上から張り付ける。車体は重くなり空気抵抗は増える。したがって燃費は悪くなる。
ガソリンは余計に消費する。サウジアラビアが儲かる・・ あ、いいのか・・。

 さて、今回の来日では原油価格がさがり、いつまでも原油だけに頼れないという危機感から
我が国に協力を求めてきたとのことだ。誰かに聞いただけの薄っぺらな知識でいえば、サウジ
アラビアでは学校はタダ、病院もタダというように、豊かな財政事情のためにおカネの苦労は
ほとんどないらしい。じゃあ、国民は何をやってるんだということになると、おどろくことに何も
やっていないらしい。掃除や建設などいろんな雑用はあるはず、ところがそういう仕事は外国
からやってきた労働者がやってるとのこと。中東へ行ったことのある人が言っていた。「アラ
ビアの人は働かないよ。」 このような状態で例えば、日本の自動車会社が工場を作っても
そこで働く人は近隣の外国人ばっかりだったら支援になるのかどうか?

 カネは腐るほどあるけど、自動車や飛行機、ロケットを作る技術はない。買ってくる。道路
鉄道、高層ビルは外国企業にやらせる。劣化した道路や橋梁のメンテナンスは・・外国業者に
依頼する。もしカネがなかったらたちまち発展途上国になり下がるだろう。石油が出なくなる
かあるいは石油をほとんど必要としないテクノロジーが発展したら・考えただけで先は見えて
くる。

 小生のような貧乏人は、お金持ちはうらやましいとは思うものの、なんでも買ってくればいい
という感覚が、どうしてもなじめない。誰かが作ったものを買ってくる。それを並べるだけ。
 そこにはクリエイティビティ(創造性)が欠如しているのだ。この創造性をつまり自分なりの
創意工夫でなにか新しい結果を発見できた時に人間はしいて言えば日本人は喜びを感じるのだ。

 たとえば、ベルサーチのスーツを着て、パテックの腕時計、シャネルのブリーフケースを持って
フェラーリに乗る。ファッション雑誌の寄せ集めではないか。ちょっとうらやましいところもある
が軽蔑しちゃうね。オーディオマニアならJBLのエベレストスピーカにマッキントッシュのア
ンプを並べて、はい、いい音が出ました・・ではないんだよ。

 有名な外人タレントのデイブスペクター氏、確かにおカネには困ってないだろう。その奥様は
ほとんど家事をやらないらしい。というよりデイブ氏が、「君は家事などやらなくていいから」
ということで、おそらく家事や料理はお手伝いさんがやっているのでしょう。主婦としてはうらやま
しい生活かもしれません。しかし例えば料理というのはかなりクリエイティブな作業で、創意工
夫がそのまま、味、見栄えとして結果がでる。成功したり失敗したり。そして徐々にスキルアップ
していく。家族から「おいしい」と言われ、ペロリと平らげてしまったときのうれしさ。これが人間の
喜びであり幸せである。こんなクリエイティブな料理という作業を奥様から取り上げてしまうなんて、
奥さんがかわいそうだ。
 その点 ウチではカミさんは家事、炊事、洗濯、子育て やり放題。最高に幸せではないか?